2024年1月に、最近はやりのミニPC を買いました。
買ったのは、MINISFORUM UM773 Lite
本当に手のひらサイズです。
サイズ:幅127mm × 奥行き128mm × 高さ47mm / 約600g
⬇️ ①の紹介記事
今回は負荷をかけた時の温度やファンの回転数のチェックと、追加のベンチマークテストです。
①の紹介記事と重なる部分もありますが、わかりやすいようにデータをまとめて示しています。
ミニPCの温度上昇の懸念
ミニPCは小さくて良いのですが、その小ささゆえ、
・内部の温度上昇に伴ってファンの音がうるさくなるかもしれない
・高温になりすぎると部品にダメージがあるかもしれない
など、やはり温度上昇については気になる点があります。
そこで、ゲーム(それほど重くはないものですが)をプレイして負荷をかけてからの温度やファンの回転数、その他のベンチマークテスト等のデータをとってみました。
PCのスペック
使用するPCは、私が所有する新旧の2台です。
・(新)今回購入したPCのスペック (ミニPC)
型番 :MINISFORUM UM773 Lite
CPU :AMD Ryzen 7 7735HS(8コア/16スレッド、Zen3+)
メモリ:32GB(DDR5-4800)
SSD :1TB(PCIe Gen4 SSD)
OS :Windows11 Home
GPU :Radeon 680M Graphics(CPU内蔵、RDNA2)
・(旧)これまでのPCのスペック (ミドルタワー)
型番 :HP ENVY 750-180jp(2016年モデル)
CPU :intel Core i7-6700K(4コア/8スレッド)
メモリ:32GB(DDR4-2133)
SSD :256GB SSD (PCI Express, M.2接続 AHCI)
OS :Windows10 Home(64bit)
GPU :NVIDIA GeForce GTX 960 (2GB / GDDR5)
・画面解像度:1920 x 1080 60Hz
2016年のPCと比べてもしょうがないと思われるかもしれませんが、自分用のの記録でもあるのでデータを載せて比較します。
Core i7-6700K は当時最強のCPUで(Core i9 はまだ存在していない)、現在でもまだまだ使えるスペックです。(Windows11 にはギリギリでアウトですが)
また、NVIDIA GeForce GTX 960 は当時3万円位のグラフィックボードで、ミドルクラスのスペックでした。
今でも軽めのゲームなら問題なく動きます。いまだに中古品が5,000円~12,000円くらいで売られています。
⬇️上が(新)ミニPC、下が(旧)HPミドルタワーPC(体積比は33倍 😁)
温度変化
前回の記事でせっかく取り付けた 2.5インチSATA SSD ですが、いったん取り外します。
その後 PCを起動し、ブラウザ等をしばらく使用した後に温度測定。
その後ゲーム(Assetto Corsaというレーシングゲーム)をプレイし、終了直後に温度測定。その5分後にも温度を測定しています。
その後、電源を切り本体のふたを開けて 2.5インチSATA SSD を再び取り付け、同じようなパターンで温度測定を行いました。
(開始時の室温 21℃ 温度測定には CPUID HWMonitor を使用)
マザーボード | GPU | ||
温度(℃) | Fan(RPM) | 温度(℃) | |
PC起動20分後 | 46 | 1819 | 43 |
ゲーム30分play直後 | 66 | 2626 | 57 |
その5分後 | 45 | 1726 | 43 |
2.5インチ SATA SSD取り付け | |||
PC起動5分後 | 44 | 1721 | 41 |
ゲーム20分play直後 | 63 | 2463 | 55 |
その5分後 | 44 | 1726 | 43 |
起動後のMaxの値 | 78 | 2872 | 72 |
ゲーム時間等、完全に同じ条件を再現できているわけではありませんが、データを見る限り問題無いかなと思います。
2.5インチSATA SSDを取り付けた後の方が、1~3℃ ほど温度は下がっていますが、誤差の範囲と言えるでしょう。
ファンの回転数なども再現性があり、2.5インチSATA SSDを取り付けても温度への悪影響はなかったと考えられます。
CPUベンチマーク
・CPUに関するベンチマークテストを行いました。
●Geekbench
CPU | Geekbench 6.2.2 CPU | |
Single-Core Score | Multi-Core Score | |
(新)Ryzen 7 7735HS | 2134 | 10692 |
(旧)Core i7-6700K | 1414 | 4979 |
●PassMark( (M)はマルチコア、 (S)はシングルコア。参照するページを変更したため、数値がわずかに変わりました (2024/2/4) 参照先のページは下記のリンク)
CPU | PassMark(M) | PassMark(S) |
(新)Ryzen 7 7735HS | 24261 | 3384 |
(旧)Core i7-6700K | 8936 | 2508 |
●(参考)現在ミニPCでよく使われているCPUの値
CPU | PassMark(M) | PassMark(S) |
Ryzen 9 7940HS | 30489 | 3689 |
Ryzen 9 6900HX | 24881 | 3439 |
Core i5-12450H | 17414 | 3426 |
Intel N100 | 5638 | 1967 |
GPUベンチマーク
●Geekbench
GPU | Geekbench 6.2.2 GPU | |
OpenCL Score | Vulkan Score | |
(新)Radeon 680M | 28687 | 31786 |
(旧)GeForce GTX960 | 19234 | 20279 |
●PassMark と 3DMark(PassMark の値を参照するページを変更したため、数値がわずかに変わりました (2024/2/4) 参照先のページは下記のリンク)
GPU | PassMark | 3DMark |
(新)Radeon 680M | 6167 | 2758 |
(旧)GeForce GTX960 | 6055 | 2293 |
ゲームのベンチマーク
・レーシングゲームの Assetto Corsa ver 1.16.4(x64) (Steam版)
(ものすごく重いゲームではないと思います)
GPU | Assetto Corsa ver 1.16.4 |
|
POINTS | FPS: AVG | |
(新)Radeon 680M | 12010 | 81 |
(旧)GeForce GTX960 | 16043 | 109 |
(このゲームの結果のみ、(旧)GeForce GTX960 の方が良いデータです)
・Car Mechanic Simulator 2021 (Steam版)
知らない方が圧倒的に多いと思いますが、車の修理をするゲームです 😄。
数値上は意外と重くて、Radeon 680M でも Graphicsを "Low" にして、やっと 60FPS近くになります。
しかし、リアルタイムでドラゴンと戦うようなゲームではないので、30FPSでもほとんど違和感無く遊べます。カーマニアにはお勧めかも・・・ 時間は溶けますが 😅
GPU | Car MechanicSimulator 2021 (FPS AVG) |
||
High | Midium | Low | |
(新)Radeon 680M | 42 | 53 | 59 |
(旧)GeForce GTX960 | 35 | 46 | 49 |
結果のまとめ
ミニPC MINISFORUM UM773 Lite の性能について、結果をまとめます。
・ゲーム等を行って負荷をかけても、内部の温度に関しては問題無いと考えられる。
・ファンも高回転になるかと予想したが、最大で 2800RPM 程度までしか上昇せず、私の耳にはゲーム中でも全くファンの音は聞こえない。
(10日ほど使用したが、一度もファンの音が気になったことは無く、起動時に耳を澄ますと一瞬だけ聞こえる。旧PCより明らかに静か)
・内部に 2.5インチSATA SSD を増設しても、温度及びファンの回転数の上昇は全く見られなかった。
・GPUについて、AMD Ryzen 7 7735HS CPU内臓の Radeon 680M は、8年前のものとはいえ専用のグラボであった NVIDIA GeForce GTX 960 の性能を、ほとんどの場合上回っている。
例外は、レーシングゲームの Assetto Corsa だが、これは GeForce のドライバが最適化されているからと思われる(ゲームの中に GeForce の看板も表示される)
考察
新しいミニPCのCPU性能は、事前に調べた情報どおり旧PCのCPU性能をぶっちぎりました。
メモリも新世代のDDR5なので性能は文句なしです。
ファンの音は「とても静か」で、CPU内蔵GPUのグラフィック性能については「十分速い」という結果でした。この2点については良い意味で期待を裏切られる結果となりました。😀
GPUについては、8年前のグラフィックボードと比べてどうすると思われるかもしれませんが、CPU単体で外付けのグラフィックボードを上回る性能を持ったという事の意味は大きいと思います。
高性能のグラボを積んで重いゲームをプレイしたい方は別として、今後はライトなゲーム程度をプレイしたいと思う方は、もはや高価なグラボやゲームPCを買う必要は無くなってきたという事ですね。
温度上昇やファンの音についてもなんら問題が無かったので、オフィスソフトやブラウザ、ライトなゲーム程度という一般的な使い方であれば、もはやミニPCで十分なのかなと思えました。
(ただし、ミニPCも千差万別であり、あまりスペックの低いものでは満足できないと思います)
温度については、今回は真冬のチェックでしたが、暑くなってきたらどうなるかは、また調べてみたいですね。