アンディ ウィアー著「プロジェクト・ヘイル・メアリー」(早川書房)
大変な年の初めになりましたが、今年もよろしくお願いします。
2021年末に発売されて大ヒットした「プロジェクト・ヘイル・メアリー」ようやく読みました。
もともと新刊のハードカバーはほとんど買わず、文庫化されてからのんびり読むというタイプだったので、この本が話題になっていたのは知りつつも、読んでいませんでした。
おまけに、上下巻2冊で、各1,980円となかなか立派なお値段。合わせて4千円か~・・・と、ますます手は出ず。
しかし、昨年11月から、X(twitter)の早川書房やSF作家さんたちをフォローしていたら、この本をべたぼめしている投稿をちらほら見かけることがありました。
気にしているとタイミングよく、11月末のブラックフライデーで、なんと各1,000円に!
思わずポチって、正月のお楽しみにとっておき、年末から数日かけて読み終わったところです。
いやー、これすごいです。
中身を全く知らずに読んで欲しいので、Amazonの紹介よりも中身には触れませんが、久しぶりに「やられた!」感たっぷりです。
下巻の最後が近づいてきて「あ~、もう読み終わってしまうのがとても残念だ!」と思ったのは、何年ぶりの感覚だったでしょうか。
ほんのちょっとだけ書きますが、まずこれは「宇宙もののSF小説」です。
内容的にはハード系のSFだといってよいかと思いますが、筆者の書きぶりはとても軽妙なので、重苦しいということはなくとても楽しく読み進められます。
それから題名について。
「ヘイル・メアリー」とは、ラテン語でアヴェ・マリア(Ave Maria)つまり、聖母マリアへのご挨拶の言葉。
転じて、アメリカンフットボールで、負けている方のチームが、ゲームの終盤に最後の賭けとして逆転を狙うために投げるロングパスのこと。
スラング的には、「ダメもとでもやってみるか!」的な意味もあるようです。
つまり、危機的状況からの低い確率のギャンブルをするプロジェクトだということが、アメリカ人なら題名を見ただけで分かるということですね。
負けているチームがダメもとで一発逆転を狙う。この辺の精神性は日本人にも合っていると思いますがいかがでしょう。
題名はこのくらいで。
ハード系のSFと書いたのは、基本的に物理学・化学・生物学の話が当たり前のように出てくるからです。
SF小説なので当然そこにはいくつかの虚構があるわけですが、その「ウソの話や理論」をできるだけ少なくして、それ以外はきっちり、正しく理論通りに話を進めていくのが、ハードSFの醍醐味ですね。
この本でも高校で習う物理のニュートン力学をはじめ、アインシュタインの相対性理論の話も当然のように出てきます。
とはいえ、そのあたりの話はあまり分からなくても、全く問題なく読み進めることはできますからご心配なく。
いや、本当に面白かったです。
思わず「すごい!うまいなー」と唸ってしまいました。
ただ、先ほど書いた、ハード系のSFは苦手だと、はっきりわかっている方、カタカナ言葉が多いと嫌だという方にはお勧めしません。
そうでなければ、と~~~ってもお勧めします。(ちょっと値段が高いですが)
文庫化の話はまだ出ていないようです。
図書館という手もありますね。ベストセラーだったから必ずあると思いますよ。
現在、映画化が進行中ということです。
個人的には、好きだった本はあまり映画は見たくない方なんですが。(たいていイメージ壊れるしね)
アンディ ウィアーの著書は、他に「火星の人」と「アルテミス」があって、こちらは文庫化されています。
私も、順番が逆になりましたが、この2冊(それぞれ上下巻あるので計4冊)はいずれ読もうと思っています。(「プロジェクト・ヘイル・メアリー」の余韻に浸りたいので、すぐには読まないつもりですが)
普段SFは読まないという方も、読み始めたらワクワクドキドキが止まらないと思いますよ。
あらためて・・・
お勧めします。😊