先日、抗がん剤オプジーボの投与も終わり、現在がんの病巣も見つからない状態なので、次からは定期的な検査だけになります、と書いたのですが・・・
実はもうひとつ使っていた抗がん剤があり、その関係のチェックということで、今日はがんセンターの口腔外科に行ってきました。
口腔外科? 歯医者? 歯? はぁ? と思われるかもしれません。😁
「ランマーク」(一般名:デノスマブ)という薬です。
私の病気の経緯を全部は書いていないので、わかりにくいかもしれませんが、3年半前に肺がんの外科手術をしたものの、その後転移。その時に骨への転移もありました。
このランマークという薬は、骨へ転移したがんが骨を溶かしてしまう破骨細胞の増殖を抑える薬で、遺伝子組み換えにより作られたモノクローナル抗体(特定の抗原にのみピンポイントで作用する抗体)です。
製造販売が承認されたのは、2012年ということで新しい薬ですね。
で、どうして骨の話が歯につながるかというと、このランマークは骨への転移後の治療によく効く画期的な抗がん剤なんですが、あごの骨が壊死する顎骨壊死と、低カルシウム血症という、ちょっといやな感じの副作用があります。
顎骨壊死は、あごの骨が炎症を起こし、やがて骨の破壊が進んでいくという副作用です。これを防ぐためには、抜歯などの歯科治療を避けることや、歯みがきを励行し、定期的な歯科検診を受けるなど、口腔内を清潔に保つことが必要になるということです。
私の場合も、まず歯の治療を完全に終わらせてから、このランマークを月に1回使ってきました(この薬は点滴ではなく皮下注射です)
そして、副作用が出ていないかどうか、3か月ごとにがんセンターの口腔外科でチェックしてもらうという事を、この2年間続けてきました。
(同時に、地元の歯科医院で2か月おきに歯垢を取ったりするメンテナンスを行い、またカルシウム製剤を服用していました)
そこで今日の話に戻りますが、3か月前に予約されていた口腔外科での副作用のチェックに行ってきたというわけです。幸い、副作用はこれまで全く出たことはなく、今回も大丈夫でした。
メインの抗がん剤であるオプジーボの投与も終わり、このランマークの注射も終わりになっています。口腔外科でのチェックは今後どうなるのかなと思っていたのですが、ランマークをやめても、その副作用がすぐに無くなるかどうかはっきりしない(数年後まで影響が残るかもしれないと言われましたが、あまりデータが無いのかな?という印象でした)ということで、頻度は下げながらも、今後もこちらの口腔外科へのチェックには通う事となりました。
口腔外科の先生から言われたのは、地元の歯科医院でのメンテナンスは必ず続けることと、抜歯はできるだけしないように、という事でした。
まあ、それでも呼吸器内科の方も、口腔外科の方も今後は定期的なチェックだけという事になり、時間的にも気分的にも楽になりました。
しかし、肺がんからあごや歯に影響が出るなんて、今回の病気があるまで全く知らなかった話でした。
もしも歯の治療に時間がかかった場合、それだけランマークを使うのが遅くなってしまうわけで、骨折など骨病変のリスクが高まってしまいます。最悪ランマークが使えないという事もあるようなので、そうすると怖いですよね。
身体というものは、意外なところでつながっているものですね。
皆さんも歯は大切に!😁
今回のランマーク、オプジーボ(一般名:ニボルマブ)も、また目の黄斑変性の治療に使っているベオビュ(抗VEGF薬)もすべてモノクローナル抗体の薬です。
私が若いころ、モノクローナル抗体はターゲットだけをやっつけることができる夢の薬だと言われていましたが、もう完全に実用化されているわけですね。
★★★
ランマークとモノクローナル抗体について、もっと知りたいと思った方は、⬇️のページがわかりやすいかと思います。
黄斑変性の話はこちら⬇️