サバのトランク

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読書 「進化のからくり」 千葉聡 著

以前、Kindle の記事を書いた時、表紙を使わせてもらった、

千葉聡著 「進化のからくり」 講談社ブルーバックス

ですが、ようやく内容の紹介です。

著者の千葉聡氏は東北大学の教授で、日本有数の進化生物学者です。

この本は、講談社PR誌「本」に2019年に連載されたものを加筆・修正して単行本化されたものなので、縦書きの一般向けの本です。(ブルーバックスの中でも、易しく書かれている方だと思います)

著者によると、この本の目的は「進化を巡る謎解きのストーリーとその成果を読者に楽しんでいただくこと、そして進化を共に考え、知り、楽しむ「進化学ファン」(これを著者は ”現代のダーウィンたち” と呼んでいる)を世に増やすことである」と言っています。

読んでいくと、著者本人および交流のあった科学者たちによる研究の過程を、まるでミステリーを読むように追体験していくことができます。
元々PR誌に書かれたものなので書きぶりは平易ですが、研究内容等についてはかなり詳細に書かれています。斜め読みでサラサラと読めるという内容では決してないものです。

この本を手に取ろうというのはある程度「進化」や「生物」に興味がある方でしょう。そういう方であれば、実際の生物学者の研究手法(特にフィールドワーク)とはこんなにハードなものなのかと、驚きと共に大きな興味と関心を持って読み進めることができるのではないかと思います。

ネガティブな点も少し。
月刊誌に連載されていたものをまとめた本なので、章ごとに話題も、時間も、人もあちこちへ飛んでいきます。私は時間軸が飛ぶのがやや読みにくい感じがしました。
また、生物学の本なので致し方ないのですが、かなり長いカタカナの生物名が頻出します。カタカナに弱い方はつらいかも。

とはいえ、この本の題名がアンテナに引っかかった人にとっては、帯にもありますが「むっちゃおもろい」一冊だと思います。
私自身も、ほんの少しですがずっと生物に関わってきた「進化学ファン」の一人として、作中で示される往年の進化生物学者ドブジャンスキーの言葉「進化を考えなければ生物学に意味はない」は、改めて心にしみるものがありました。

おすすめします

 

この本について、Amazonで確認していたら、千葉先生の新刊2023年11月16日に出ると知ってビックリ!

ダーウィンの呪い」 講談社現代新書

すかさず予約してしまいました。