"部屋いっぱいを占めるような巨大な古いコンピュータの前で悩むふたりの男性の数学者"
NHK「笑わない数学」シーズン2#8「BSD予想」を見ました。
「BSD予想」省略せずに言うと「バーチ・スウィンナートン=ダイアー予想」
二人の数学者の名前です。
今回のテーマはかなり難しく、この番組の目的自体が、BSD予想とは一体どんな難問なのかを理解してもらうという事だそうです。
ですので、ネタバレしても関係無いと思われますので、ここでは番組内容にも触れながら「BSD予想」についてわかった事を書いていきます。
アメリカのクレイ数学研究所が2000年に発表した、100万ドルの懸賞金がかかった 7つの「ミレニアム賞問題」というものがあります。
その7つとは、
・BSD予想
・ホッジ予想
・ナビエ・ストークス方程式
・P対NP問題
・ポアンカレ予想(これだけがペレルマンにより解決済み)
・リーマン予想
・ヤン・ミルズ方程式と質量ギャップ問題
その中の1つが、今回の「BSD予想」です。
番組の前半では、BSD予想を理解するための準備として、「有理点を求める問題」の解説が展開されます。
「有理点が無限個存在する円の方程式もあるが、有理点が1つも存在しない円の方程式もある」
この事について、パンサー尾形さんが今までで一番難しかったという背理法での証明に挑戦します。
そこから次の段階として、円ではなく、yの2乗とxの3乗を含む「楕円曲線」の上の有理点の個数の問題に話は進みます。
その楕円曲線を調べてみると、
楕円曲線には、
・有理点が1つも無いもの(無限個x0)
・有理点が無限個で 1セットあるもの(無限個x1)
・有理点が無限個だが 2セットあるもの(無限個x2)
・有理点が無限個だが 3セットあるもの(無限個x3)
・
・
・有理点が無限個だが 9セットあるもの(無限個x9)
この(無限個x?)を調べるのはとても難しいという事です。
この段階で、ようやく「BSD予想」の話になります。(番組はすでに20分経過)
1950年代半ば、バーチとスウィンナートン=ダイアーは、この(無限個x?)を予想する方法を打ち立てました。
二人が使ったのは、当時登場して間もなかったコンピュータでした。
(EDSACⅡが出てきました。大昔に習ったコンピュータの歴史の授業を思い出しました。懐かしいですね。ENIACとかもありました)
ふたりは結果を6年がかりでグラフ化。そしてそのグラフの傾きが(無限個x?)の "?" にあてはまる事を発見したのでした。
(完全な証明がなされていないので、「予想」なんですが)
番組の最後になって、ようやく「BSD予想とは何か?」にやっとたどり着きました。
21世紀に入って意外な事実がわかってきます。
「素数」の謎に迫るものとして「リーマン予想」がありますが、「BSD予想」はそれをはるかに上回る新たな予想「深リーマン予想」とも呼ばれるものにつながっているという事実がつい最近明らかになってきました。
「BSD予想」の先にこそ、数学者たちが長年追い求めてきた「数とは何か?」、また「宇宙の自然法則の真の姿」を見つける事ができるかもしれないということです。
やっぱり、今回は難しかったですね。無限大が複数セットあるとかもはや私の理解をはるかに超えます。まあ、だから面白いんですけどね。
毎回書いてますが、(今回も番組では触れられませんでしたけど)
「数学は人間が自らの頭の中で作り出した発明なのか?
それとも人間とは関係なく大昔から存在していたものを人間がたまたま発見したものなのか?」
端的に言うと、
「数学は発明なのか発見なのか?」
やっぱり数学は興味深いですね。
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*この記事のイラストは、Image Creator の AI によって作成されました