サバのトランク

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読書「高い城の男」フィリップ・K・ディック 著

フィリップ・K・ディック 著 「高い城の男」早川書房

⬇️これは昔の文庫本のカバー、今は違うデザインです

高い城の男カバー

 

先日、小川哲の「嘘と正典」「歴史改変SF」としてこのブログで取り上げました。その記事の中で、小川氏も影響を受けたという、フィリップ・K・ディック著「高い城の男」を30数年ぶりに読みました。

⬇️「嘘と正典」の過去記事

savatrunk.com

ジェイムス・P・ホーガンの「星を継ぐもの」の時にもちょっと思ったのですが、あまりにも有名で、もはや古典のような小説なので、いまさら私などが何を言えばよいのかというのがありました。
ましてや、今回のディックではなおさらです。かなり迷いましたが、「嘘と正典」からの流れで、簡単に紹介だけをしたいと思います。

 

「高い城の男」は1962年発表、1963年にヒューゴー賞長編小説部門を受賞しています。

その内容は、第二次世界大戦が枢軸国の勝利に終わり、世界がナチス・ドイツ大日本帝国によって分割統治・占領されているという設定の「歴史改変SF」です。

ヒューゴー賞は、SF・ファンタジー作品に贈られるアメリカの賞で、専門家ではなく世界SF大会参加者の投票によって決まります)


★★ 以下、多少内容に触れます ★★

第二次世界大戦の敗戦により、旧アメリカ合衆国アメリカ太平洋岸連邦」、「ロッキー山脈連邦」、現「アメリカ合衆国」(旧領の東部のみが支配下)、「南部」に分割されています。

舞台は、実質的に日本に支配されているアメリカ太平洋岸連邦」の都市サンフランシスコ
一人だけが主人公というわけではなく、古美術商の店主チルダン、ユダヤアメリカ人で職人の男フランク、フランクの元妻で柔道教師のジュリアナ、太平洋岸連邦第一通商代表 田上信輔、この4人を中心に物語は進んでいきます。

設定は大胆ですが、それ以外のSF的な仕掛けはそれほどあるわけではなく、この架空の歴史の中で国籍も立場も異なる人々の感情や行動など、様々な人間模様が描かれていきます。

この作品の特徴としては、多くの人々が易経(えききょう)を利用している点と、「連合国が第二次世界大戦に勝利していたら」という設定で、小説の中に登場する仮想小説『イナゴ身重く横たわる』アメリカや日本で流行している(ドイツ占領地域では発禁)という点でしょう。
この2点が、多くの場面で物語の重要なポイントとなっていきます。

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易経(えききょう、易:えき)って、占いをする易者(えきしゃ)さんが30cm位の細い竹の棒:筮竹(ぜいちく)をジャラジャラと鳴らしながら選び「当たるも八卦当たらぬも八卦」なんて言っている場面が、昔はテレビなどでも見ることがありましたね。最近はほとんど無いか。

★★★★

この記事を書くために調べていて初めて知ったのですが、「高い城の男」amazon Prime Video でドラマシリーズが制作されていました。
製作総指揮はなんとリドリー・スコット 😮、また、フィリップ・K・ディックの娘である、イサ・ディック・ハケットもプロデューサーに名を連ねています。

2016年から2019年にかけて、シーズン1~4が制作され、全40話で完結しているようです。

次はこのドラマシリーズを観てみましょうかね。😄

 

⬇️現在のカバーはこちら