サバのトランク

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笑わない数学 S2#6 ケプラー予想

みかんがピラミッド型に積まれたイラスト

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NHK「笑わない数学」第2シリーズ#6「ケプラー予想を見ました。

前回の「超越数」に続いて「ケプラー予想」も私は聞いたことがありませんでした。

簡単に内容を紹介します。

(ネタバレになるので注意!)

ケプラー予想」とは、
「無限に広がる空間に同じ大きさの球を詰め込むとき、1層目に球を敷き詰め、そのくぼみに2層目の球を入れていく方法が密度が最も大きくなる(隙間が最も小さくなる)はずだ」

このケプラーは、あの有名な天文学者ケプラー昔の人は多才ですね
船にできるだけ多くの丸い砲弾を積み込むためにはどうすれば良いのか、という質問から始まったと言われています。

直感的には、「ケプラー予想」の通りだとすぐに分かるんですが、証明されたのは今からわずか25年前。400年間証明できなかったということです。

番組では、3次元の空間の話に行く前に、2次元の平面充填の話の説明があります。

まずは、どんな三角形でもそれを2つ合わせるとで平行四辺形になる。
どんな平行四辺形も、必ず帯状に並べることができる。
帯は、平面に隙間なく並べることができる。
つまり、平行四辺形は平面を埋め尽くすことができる。

これを「三角形は平面充填可能である」という。

同様に考えていくと、四角形も平面充填可能である。
六角形はほとんどダメだが、3つのタイプの六角形は平面充填可能である。
七角形以上は、平面充填が不可能だということが証明されている。

五角形もたいていはダメだが、平面充填可能な15のタイプが存在する。この15のタイプが全てであることが証明されている。

本題ではないんですが、この 2次元の平面充填の話が意外と面白かったですね。


続いて、平面への「円」の充填問題。
結局、規則正しく並べるのが最も密度が大きい。これが証明されたのは1940年代だった。

ここまでで、17分経過します(30分番組なのに・・・笑)


ようやく、ケプラー予想

「無限に広がる空間に同じ大きさの球を詰め込むとき、1層目に球を敷き詰め、そのくぼみに2層目の球を入れていく方法が密度が最も大きくなる(隙間が最も小さくなる)はずだ」
稠密六方格子(六方最密充填)と面心立方格子の混合が球の密度の最大になる。と結論づけます。充填率は 74.05%
(混合というのがちょっと引っかかりました。六方最密充填と面心立方格子それぞれで充填率は 74.05%だと思うのですが・・・)

これは1998年にトマス・ヘールズがコンピューターを使って証明しましたが、疑問が出たのでその後10年以上をかけて、より完璧な証明を行ったということです。

あらゆるパターンをしらみつぶしにチェックするという方法は、コンピューターを使った力業(ちからわざ)での証明ですが、本当にそれで「全ての場合をチェックしたのか?」と言われると苦しいのでしょうね。
結局、コンピューターを使って調べたのが「全ての場合であった」、ということを証明する必要に迫られるということでしょうか。うぅん、なかなか大変ですね。

この稠密六方格子(六方最密充填)と面心立方格子については、多くの単体金属がこれらの立体構造をとっているので、化学の分野でよく出てくる話です。

でも、番組では化学との関連は全く触れられませんでした。なぜ? 時間の問題?


最後に、多次元の空間に球を充填する課題が研究されているという話が紹介されます。
2022年には 8次元と24次元での球充填問題を解決したいうことですが、こういう高次元の話になってくると全く想像もできない世界になってきますねぇ。

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*この記事のイラストは、Bing Image Creator の AI によって作成されました